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[保健・医療] [ヘルスケア] 韓国のヘルスケア産業、AI-バイオの融合で大飛躍を夢見る
作成日
2024.09.09

AI診断ソリューションを中心に見た国内外のバイオヘルスケア市場の現状と展望

先進国を中心に人口の高齢化が加速化し、高額医薬品の処方が拡大されたことで保険財政の負担が増している。新型コロナを機に浮き彫りになった医療における人手不足問題もヘルスケア分野の重要なイシューとして浮上し、慢性疾患の管理や早期診断システムを改善するための対策として医療AI1)基盤診断ソリューションが急激に注目されている。医療AIは、病気の検知および診断精度の向上、カスタマイズ型治療法の開発、医療画像診断および検証、臨床試験の効率性の向上、候補物質の組み合わせおよび新薬開発などに活用され、患者別の精密治療、診断誤謬の減少、治療費用の低減、医者と患者の参加度の増加といった利点が期待できる。

グローバル医療AI市場は分析機関によって分析対象期間と市場の規模が異なるが、共通的に含まれる期間を考慮すれば、今後5年間、40%強の成長率を記録するものと見込まれる。MarketsandMarkets(2023)によると、適用分野別の市場規模の見通しは、2023年基準で患者データおよびリスト分析の分野が29.4億ドルで最も大きな規模であり、それに次いで精密医学(22.3億ドル)、医学研究(19.9億ドル)の順となっている。2)
表1. グローバル医療AI市場の規模と展望
글로벌 의료 AI 시장 규모와 전망
分析機関 市場規模 今後の見通し 年平均成長率(CAGR)
Fortune Business Insights 195.4億ドル(2023) 276.9億ドル(2024) → 4,909.6億ドル(2032) 43.2% (’24~’32)
Markets and Markets 158億ドル(2023) 158億ドル(2023) → 1,817億ドル(2030) 41.8% (’23~’30)
Precedence Research 192.7億ドル(2023) 266.9億ドル(2024) → 6,138.1億ドル(2034) 36.83% (’24~’34)
Technavio 76.8億ドル(2023) 76.8億ドル(2023) → 280.2億ドル(2028) 29.5% (’23~’28)
Future Market Insights 70億ドル(2021) 70億ドル(2021) → 1,818億ドル(2032) 38.5% (’21~’32)
* 出所:市場資料に基づいて産業研究院が再作成
エリア別のAIヘルスケア市場規模の見通しを見ると、2030年基準で北米(720億ドル)に次ぎ、アジア(494億ドル)、欧州(310億ドル)の順で大きな割合を占めることが予想される。ただ、市場の成長速度についてはアジア市場が2023年から2030年まで年平均47.9%と最も早い成長が期待される。アジアの中でも韓国のAIヘルスケア市場は2023年の3.7億ドルから年平均50.8%成長し、2030年に66.7億ドルとなることが見込まれ、グローバル平均(41.8%)を超えてアジア平均(47.9%)より高い成長が予想される。現に韓国はLunit(ルニット)、VUNO(ビューノ)、Deep Bio(ディープバイオ)、NTLヘルスケアなどの医療画像分析AI技術のリーディングカンパニーを中心に関連特許の出願および米国・EUなどへの海外進出のような成果を上げている。
表2. 適用分野によるAIヘルスケアの市場規模と展望
(単位:億ドル、%)
적용 분야에 따른 AI헬스케어의 시장 규모 및 전망
区分 2023 2030 GARG(’23~’30)
患者データおよびリスク分析 29.4 304.9 39.7%
精密医学 22.3 278.2 43.4%
医学研究 19.9 201.9 39.2%
医療画像および診断 19.6 181.7 37.5%
新薬開発 17.1 209.1 43.0%
生活習慣の管理およびモニタリング 16.8 232.6 45.6%
診療および病院の管理 12.9 167.2 44.2%
ロボット手術および支援 10.2 149.2 46.7%
その他 9.5 92.7 38.5%
* 出所:MarketsandMarkets(2023)、サムジョンKKPMG(2024) 再引用
表3. 医療画像分析AI技術、出願者国籍別の特許出願の動向
(単位:件)
의료영상 분석 AI 기술, 출원인 국적별 특허출원 동향
国籍 2016 2017 2018 2019 2020 合計 CAGR(’16~’20)
中国 83 245 625 1,071 1,383 3,407 102.0%
米国 120 232 276 390 477 1,495 41.2%
韓国 29 62 190 280 407 968 93.6%
日本 30 84 166 343 273 896 73.7%
ドイツ 55 72 99 117 88 431 12.5%
その他 28 81 195 252 318 874 83.6%
全体 345 776 1,551 2,453 2,946 8,071 70.9%
出所: サムジョンKPMG(2024)

政府の先端バイオ産業の育成政策

2024年4月、韓国政府はデジタルとバイオの融合およびバイオの製造革新を通じたグローバルバイオ強国への飛躍を目指し、「技術革新」と「基盤構築」でバイオのバリューチェーン強化を図る「先端バイオイニシアチブ」を発表した。

2023年4月には「バイオヘルス新市場創出戦略(2023.2.28)」のフォローアップ措置として、医療機器のグローバル輸出強国への飛躍に向けた「第1次医療機器産業育成・支援総合計画(‘23∼’27)を発表した。特に医療AIを有望技術の3大育成分野に選定し、積極的な技術開発及び市場形成を支援することで医療AI産業のグローバル競争力を高めようとする政府の意志を確認することができる。
表4. 先端バイオイニシアチブ
첨단바이오 이니셔티브를 설명하는 표
ビジョン デジタル-バイオの融合およびバイオ製造革新を通じた2035グローバルバイオ強国への飛躍
方向 韓国の「革新基盤技術」と「高品質データ」の結合で次世代「サービスプラットフォーム」を作り出し「体験価値」を実現する「バイオのバリューチェーン」を強化
主要課題 ① 技術革新課題
⯈ デジタルバイオの育成
⯈ バイオ製造の革新
⯈ バイオ医療の革新
⯈ 人類共同難題の解決
② 基盤構築課題
⯈ 中核人材および産業生態系
⯈ 研究・デジタルインフラ
⯈ グローバル協力ネットワーク
⯈ 法・制度の体系および規制革新
* 出所:先端バイオイニシアチブ、関係部処合同、2024.4.25.
表5. 第1次医療機器産業の育成・支援総合計画(’23∼’27)
제1차 의료기기산업 육성·지원 종합계획을 설명하는 표
ビジョン 国民健康と未来先端産業を牽引する医療機器輸出強国への飛躍
目標 ① 医療機器産業の輸出5位国の達成
② 研究開発投資および輸出先導型医療機器企業の育成
③ 優秀な国産医療機器の国内使用率の向上
④ 医療機器産業分野専門の雇用創出
4大戦略 ⯈ R&D:ポストコロナ、新しいパラダイムに対応した戦略的なR&D投資の拡大
⯈ 臨床実証:国内外での臨床実証を通じた国産医療機器使用の活性化
⯈ 市場進出:国別・地域別のカスタマイズ型支援を通じた市場進出の拡大
⯈ 制度/革新生態系:革新技術の市場参入規制の合理化および生態系の造成
* 出所:第1次医療機器産業育成・支援5ヵ年総合計画、保健福祉部、2023.4.4.

韓国の医療AI企業の海外進出事例

韓国内の医療AIがん診断ソリューション開発企業に対する具体的な外国人直接投資(FDI)事例は未だ多くない。しかし、複数のリーディングカンパニーは米国のバイデン政権が主導するがんムーンショット(Cancer Moonshot Project:がん治療の進歩を加速させることを目的とするプロジェクト)に参加し、また、米国、EU、アジア、中東など世界各地に医療ソリューションを提供している。実際、GEヘルスケア、フィリップス、富士フィルム、ガーダントヘルスなどの世界有数の医療機器・診断企業とのパートナーシップ締結が活発に行われ、グローバル市場でも認められる技術競争力を示している。
表6. 最近の医療AI企業の海外進出事例
최근 의료AI 기업의 해외 진출 사례를 설명하는 표
企業名 Lunit(ルニット) NTLヘルスケア Deep Bio(ディープバイオ)
専門分野 乳がんおよび肺がん 子宮頸がんの画像判読 前立腺がんおよび乳がんの診断
進出地域
(参加プロジェクト)
EU、米国(Cancer Moonshot)、日本、サウジアラビアなど ベトナム、タイ、米国(CancerX)など モロッコ、米国(CancerX)
* 出所:産業通商資源部、保健福祉部の報道資料やマスコミ報道に基づいて産業研究院が作成
1) 医療AIとは診断、治療、結果などを含め、患者を支援して改善する目的で、マシンラーニング(ML)、神経言語プログラミング(NLP)、ディープラーニング、ロボットプロセスの自動化(RPA)などのAI支援ハードウェアまたはソフトウェアを使用することを意味する。(IBMホームページ、 「What is artificial intelligence in medicine?」(アクセス日:2024.8.20.) Coursera(2024)、『AI in Health Care: Applications, Benefits, and Examples』、May 24.)
2) MarketsandMarkets(2023), “Artificial Intelligence(AI) Market”

鄭至恩(チョン・ジウン)副研究委員(je.jung@kiet.re.kr)
産業研究院

<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>

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