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[エネルギー] 韓国のバッテリー産業 - 政策支援を通じた競争力強化の模索
作成日
2025.11.11

バッテリー産業の動向

安定的成長期に入ったバッテリー産業:機会と機器の共存

バッテリー産業は電気自動車(EV)市場のキャズム、つまり成長の鈍化にも拘らず、年平均20%以上の成長率を示す高成長産業である。過去の爆発的な成長ぶりに比べると勢いが弱まった感はあるものの、依然としてIT機器の利便性確保に向けた無線化は続いており、電気自動車の普及はカーボンニュートラル目標を達成するためには欠かせないものである。特に最近は新再生可能エネルギーの間欠性の解決とAIデータセンターの構築のためにESSバッテリーの需要が急増している上、UAM(アーバン・エア・モビリティ)・ドローン・ロボットなどの新市場においても需要が生まれていることから、バッテリーが未来を担う前途有望な産業であることには異見がない。新政府においてもその重要性を認識し、123の国政課題の中で「エネルギー高速道路の構築」と「エネルギー大転換」を発表するなど内需の活性化も期待される状況だ。
ただ、グローバルバッテリー産業が着実に成長するからといってK-バッテリーの未来がひたすら明るいとは言い難い。2025年上半期に中国のグローバル市場シェアが77%を突破し、中国内需市場を除いた中国以外のグローバル市場においても2025年第1四半期に初めて中国に逆転されるなど、中国の成長がグローバルバッテリー産業の成長を主導している形である。主な原因は主力市場だった欧州で消費者の中・低価格EVへの好感度の上昇で安い中国産バッテリーの採択が増え、2024年第2四半期以降、中国にシェアを奪われたためである。そのような状況の中で、欧州における中国のシェアは47.6%から60.7%に大幅に増加し、価格競争はより激しさを増している。
ところが悪いことばかりではない。米国市場ではK-バッテリーが49%の高いシェアを維持しており、中国バッテリーのシェアは18%から11%に下落するなど、先行投資の効果が確実に現れている。トランプ政権の発足初期にインフレ抑制法(IRA)補助金の廃止などへの懸念から米国に先行投資を行っていた韓国企業に悪材料になるのではないかという声もあった。が、官民が協力して業界の意見を伝えた結果、予算調整措置法案(OBBBA)にバッテリー先端製造税額控除(AMPC)がIRA原案通り維持されたことから、業界の不確実性が解消され、安定的な米国内の生産環境が期待できるようになった。

グローバルバッテリーの覇権を巡る競争

中国の脅威:天文学的な政府支援、原価競争力、サプライチェーンの掌握

すでにグローバルバッテリーの覇権を巡る競争は韓・中の二強体制に再編されており、米国・欧州市場だけでなく東南アジア市場においても先取り競争が熾烈に展開されているなど、中国の勢いが強い。中国は「国輸国造」という政策基調に基づき、バッテリー産業の育成に向けた強力な政策を進めている。
グローバルバッテリーの覇権を巡る競争
企業名 現状
LGエナジーソリューション 現代自動車とインドネシアJV設立、カラワン県にバッテリーセル工場建設
三星SDI マレーシア・スレンバンに小型電池第2工場設立、 円筒型生産量の拡大推進
CATL インドネシア 10GWhバッテリーセル製造へ投資 バッテリー川上分野への投資拡大
BYD タイ、インドネシアなどにEV工場建設
最も恐ろしいのは天文学的な金額の政府支援である。中国は「中国製造2025」に基づき、電気自動車及びバッテリーを10大中核戦略産業に指定して育成し、2023年までに約310兆ウォンに上る金額を支援したと推定される。補助金以外にも中央・地方政府が土地支援、金融貸付を行うなど、企業育成に向けた積極的な支援を行っただけでなく、世界最大の内需市場を背景にホワイトリスト制度を運営して爆発的な成長基盤を作った。その結果、CATL、BYDなどの世界トップ企業を育成し、今やグローバル市場で韓国を脅かしている。

今後の課題

価格競争力及び投資力確保に向けた支援

最も急がれる当面課題は、すでに出血競争に突入した中国バッテリー及び素材に対応して価格競争力を確保することやR&D、施設投資、人材確保など未来に備えた投資力の確保である。韓国は中国に比べて高い電力料金や資源不足などで企業の生産環境が構造的に劣っており、電気自動車・ESSなど需要を牽引する補助金政策も足りず非常に厳しい時期を迎えている。 韓国のバッテリー企業がグローバル市場において同等な条件で競争するためには果敢な政策支援とR&D投資が必要である。

金俊洙 専任 (jskim@k-bia.or.kr)
韓国バッテリー産業協会 政策企画室

<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>

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