韓国バイオ産業の成長と国際競争力
グローバルバイオエコノミー時代の到来
バイオ技術が経済成長を主導する「バイオエコノミー」時代が到来した。バイオ技術革新が保健医療や農食品など多様な分野での活用によって発生する世界のバイオエコノミー規模は急速に成長し、2030年頃は30兆ドルに達すると見込まれている。このようなバイオ経済成長は、供給の観点では人工知能(AI)などのデジタルトランスフォーメーションと融合して加速化するバイオ技術の革新、需要の観点では人口高齢化とパーソナライズ需要の拡大による市場環境の変化が主な要因となっている。あわせて、米中覇権争いなど世界経済秩序の再構築に伴い、技術安全保障の重要性が拡大するにつれ、世界各国がバイオ経済の主導権を確保しようと積極的に推進する政策の効果も世界のバイオ経済成長に大きく寄与している。
韓国バイオ産業の急激な成長
韓国もバイオエコノミー時代における競争力を大きく強化している。バイオ技術基盤の革新的な製品を対象に調査する韓国バイオ産業実態調査によると、2024年韓国バイオ産業の生産規模は約23兆ウォンで、1994年以降30年間で年平均約17%以上の高い成長率を記録した。また、2024年の輸出規模も約14兆ウォンで、1994年以降約20%を超える成長率で拡大している。
図1. 韓国バイオ産業における生産及び輸出規模
韓国バイオ産業の中核製品である医薬品と医療機器分野の産業競争力も著しく強化された。食品医薬品安全処(MFDS)の『食品医薬品統計年報』によると、韓国の医薬品産業と医療機器産業の生産規模は、2014年以降2024年までそれぞれ年平均成長率7.2%、9.5%に成長した。輸出規模の年平均成長率はそれぞれ17.4%と10.2%に達し、より急速に上昇した。
* 出典: 産業通商部/韓国バイオ協会、「国内バイオ産業実態調査」(各年)
韓国バイオ産業の中核製品である医薬品と医療機器分野の産業競争力も著しく強化された。食品医薬品安全処(MFDS)の『食品医薬品統計年報』によると、韓国の医薬品産業と医療機器産業の生産規模は、2014年以降2024年までそれぞれ年平均成長率7.2%、9.5%に成長した。輸出規模の年平均成長率はそれぞれ17.4%と10.2%に達し、より急速に上昇した。
表1. 韓国の医薬品産業と医療機器産業における生産及び輸出規模
(単位:韓国兆ウォン)
* 出典:食品医薬品安全処、「食品医薬品統計年報」(各年)
韓国バイオ産業の主な競争力
韓国バイオ産業のイノベーション競争力は著しく強化されている。バイオ企業や製薬会社はもちろん、大企業まで様々な主体がバイオ産業エコシステムに参画し、イノベーション製品の研究開発から商用化を推進している。代表的なバイオ企業としてアルテオゼン、リガケム、ジェネクシン、ABLバイオ等が挙げられ、大手製薬会社の柳韓洋行、韓美薬品、東亜製薬等が革新的新薬開発に積極的に投資している。その結果、1980年代にはジェネリック医薬品しか生産できなかった韓国は2000年以降、新薬開発に成功した。2025年現在、韓国食品医薬品安全処の承認を受けた新薬は合計41に達する。また、2025年基準韓国の新薬開発パイプラインは全世界の10%、アジア・太平洋地域パイプラインの22%を占め、世界的な競争力を認められている。韓国は毎年、兆単位規模のバイオ技術輸出(Licensing-out)の成果を上げおり、これは韓国のイノベーション能力が単なる基礎研究を越えて商業化段階に入ったことを示唆している。
韓国はまた、バイオ医薬品生産能力、特に受託製造(Contract Manufacturing Organization、以下CMO)能力においても世界トップレベルの競争力を有している。2024年基準、米国食品医薬品局(FDA)が承認したバイオシミラー医薬品の合計73のうち、韓国製品は18で、米国(26)に次いで二番目に多い。米国FDA承認製品の一つであるセルトリオン(株)バイオシミラー「Remsima IV 」は世界市場に参入し、2024年に約1.3兆ウォンの売上を達成したことがある。最近国際的な競争が激化しているバイオ医薬品受託生産分野でも、サムスンバイオロジックス、ロッテバイオロジックス、セルトリオン等の韓国企業の競争力は世界的に認められている。特にサムスンバイオロジックスの生産規模は2025年基準で78.4万リットルで、世界1位の生産能力を確保した。韓国のバイオ医薬品生産能力は引き続き強化され、2030年には約214万リットルに増加すると見込まれている。
韓国バイオ産業の競争力強化に向けた積極的な政策
韓国政府はバイオ産業のイノベーション競争力強化に向けて積極的な政策を推進している。代表的な政策は1994年からこれまで推進されている「生物工学育成基本計画」である。「第1次生物工学育成基本計画(1994年〜2007年)」を皮切りに、2026年現在は「第4次生物工学育成基本計画(2023年〜2032年)」が推進されている。第4次生命工学基本計画では、デジタル融合促進と戦略的な研究開発投資を通じて2030年にバイオエコノミーの先導国への跳躍を宣言し、研究開発戦略とともに産業生態系全体の競争力を強化するための政策を幅広く推進している。
韓国政府の積極的な政策支援に基づき、大学や研究所などの公共部門における研究開発投資が大きく拡大した。韓国の公共部門の研究開発投資額は、2007年14.3億ドルから2023年64.8億ドルに年平均10%水準に増加し、このような投資は韓国バイオ産業のイノベーション競争力強化につながっている。
また、韓国政府は1990年代以降、地域別のバイオクラスターを造成し、バイオ産業競争力の強化を支援してきた。韓国政府はCRO企業が密集した松島、研究所が密集した大田、先端医療複合団地に指定された五松や大邱など、地域の革新エコシステムを活性化するために戦略的投資政策と規制改善政策を積極的に推進している。バイオクラスターの活性化に向けては、地理的に集積した企業、大学、研究機関などイノベーション主体間の有機的な協力とネットワーク構築、そして相乗効果の創出のための政策支援が重要である。
韓国バイオ産業は政府の積極的な政府支援を基に、世界のバイオエコノミー生態系の主要なイノベーション主体として参画している。研究開発と生産、商業化などバリューチェーン段階で様々なイノベーション主体間の協力と連携がバイオエコノミー生態系において欠かせないもので、韓国バイオ産業の世界的な地位はさらに向上することが期待される。
Youn Hee Choi (yhchoi@kiet.re.kr) Senior Research Fellow
Korea Institute for Industrial Economics & Trade (KIET)
1) 産業通商部の韓国国内バイオ産業実態調査の結果はイノベーション製品に関する統計である反面、食品医薬品安全処の『食品医薬品統計年報』は、イノベーション製品と一般製品の全般に関する統計で、調査対象の範囲がより広いため、統計上の数値に差異が生じている。
<本寄稿の内容は、必ずしも大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の編集方針や公式見解を反映するものではありません。>